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北里大学:北里大学大村智記念研究所片山和彦教授らの研究グループが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して感染抑制能(中和能)を有するVHH抗体の取得に成功 -- 北里大学(5月7日)

2020年05月11日
 北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学I研究室片山和彦教授らおよび、株式会社Epsilon Molecular Engineering(社長:根本直人、以下EME)、花王株式会社(社長:澤田道隆、以下花王)安全性科学研究所の研究グループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して感染抑制能(中和能)を有するVHH抗体※1の取得に成功しました(図1)。
この研究成果は、新型コロナウイルス感染症の治療薬や診断薬の開発に繋がることが期待されます(図2)。

■背景
 現在、世界各地で新型コロナウイルス感染症が大きな課題となっています。手洗いの徹底やマスクの着用など感染拡大防止に向けた取り組みが数多く行われている一方で、新型コロナウイルスに対する治療薬は未だ存在せず、一刻も早い治療薬の開発が望まれています。また、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、感染の有無を調べる検査に関して検査体制の整備が進められているものの、十分な検査が実施されているとは言えず、迅速かつ簡便、確実な検査法の開発が望まれています。
 これら課題を解決する手段の一つとして、新型コロナウイルスと特異的に結合する抗体が待ち望まれています。抗体は体内に侵入した異物(抗原)に対する免疫に関わり、特定の抗原と結合する能力を有しています。この能力を利用することで、様々なウイルスの感染抑制や特異的検出が可能となり、治療薬や検査薬に利用されています。
 そこで北里大学とEME、花王は協力し、新型コロナウイルスに結合するVHH抗体の作製に取り組みました。

■研究成果
1. cDNAディスプレイ法を用いた候補VHH抗体の配列情報の取得(EMEと花王の共同)
 花王は、EMEが有するハイスループットVHH抗体スクリーニングを可能とするcDNAディスプレイ技術※2の提供を受け、ヒト培養細胞で発現させた新型コロナウイルスのS1タンパク質※3を標的分子に用いたスクリーニングを実施し、候補となるVHH抗体の配列情報を取得しました。

2. 候補VHH抗体の調製(花王)
 花王は、長年の研究開発で培ったバイオ生産技術を活用することで、候補VHH抗体の配列情報から得られた候補遺伝子の人工合成を行い、微生物によるVHH抗体生産を行いました。作製したVHH抗体の標的分子に対する結合能を評価したところ、VHH抗体が標的分子と結合することが確認できました(図3)。

3. 新型コロナウイルスを用いた候補VHH抗体の感染抑制能評価(北里大学と花王の共同)
 北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学I研究室では、いち早く開発したSARS-CoV-2に対する薬剤の不活化効果を評価する技術を用い、花王が提供した候補VHH抗体の新型コロナウイルス粒子への結合と、中和活性の有無を確認することで感染抑制能を評価しました。その結果、本VHH抗体を添加した場合に新型コロナウイルスの細胞への感染が抑制されていることが確認できました。このことから、取得したVHH抗体は新型コロナウイルスに結合するだけでなく、感染抑制能を有することが明らかとなりました。

■今後の展望
 今回の研究では、新型コロナウイルスに対して結合することで感染能の抑制が期待できるVHH抗体の取得に成功しました。本成果は新型コロナウイルスの治療薬や検査薬の開発に繋がることが期待できます。今後、今回の成果を世界中で活用できる方法について検討し、発信して参ります。



【見解・感想】

 治療薬や診断薬の開発に期待します。

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