顧客と高い信頼関係を築く3つの営業力

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企業活動の目的が売上を上げることである以上、営業活動は
必要不可欠です。
優秀な営業は、顧客との間に高い信頼関係を築くことでリピーター客を
獲得し、継続した売上を上げることができます。
では、顧客との間に信頼関係を築き、継続した売上を見込めるリピーター客を
獲得するためには何が必要なのでしょうか。

1.第1印象で顧客に期待感を抱かせる

初めての顧客に営業訪問をする際には、誰でも緊張すると思います。
しかし、訪問される側の顧客も多少なりとも緊張をしているものです。
そこで、まず初めての顧客に営業訪問をする場合に必要となることは
落ち着いて話を聞いてもらうために顧客に「安心」を与えることが必要となります。
最初に顧客から、「何か変な奴だな」と思われてはその先の商品説明がどれだけ
上手くても充分な効果を与えることができません。
短時間で顧客からの評価が決まる営業にとって、
「見た目」の印象はかなり大きな影響を与えます。
普段から、清潔感のある身だしなみ、挨拶の声の大きさ、お辞儀の美しさ、
正しい言葉使いなどから顧客に「安心」を与えられるように、
より高いレベルとするための努力は必要不可欠です。
更に見た目と同様に第1印象を左右する重要な要素が「自己紹介」です。
誰もが初めての顧客を訪問した際に、名刺交換を行うと思います。
この際に、単純に名刺を交換するだけでなく、顧客の関心を引くような自己紹介を行うことが
重要になります。
顧客の関心を引くことができる自己紹介とは、
・個人情報(名前や会社名、所属部署)
・セールスポイント(会社や営業自身の強みや得意なこと)
・ゴール(今回の訪問の狙いや目的)
・メッセージ(顧客との関係性を深める)
の4項目を14秒で顧客に伝えることで、その先の商品説明の際に目的にあった深い会話を
展開しやすくなります。
14秒というのは、顧客がストレスなく自己紹介を聞ける時間となります。
それ以上長い自己紹介は逆効果を与えることになるので、普段から14秒で行える自己紹介を
用意する必要があると言えます。

2.顧客の潜在的需要を顕在化させる質問力

顧客に対して質問を行うことで、顧客は漠然と営業の話を聞くだけでなく質問に対する
答えを考えるようになります。
その結果、営業の話の内容をよく理解するようになります。
自社の商品やサービスを売るためには、営業が売りたい商品やサービスを顧客自身が
必要だと感じることが必要となります。
営業が顧客との会話をコントロールし顧客のニーズを引き出す質問を行っていくことで、
顧客の潜在的需要を顕在化させることができます。
質問の種類には、クローズ型の質問とオープン型の質問があります。
クローズ型の質問とは、質問の回答が「はい」か「いいえ」や「A」か「B」のように
択一で回答できるような質問のことを指します。
例)犬が好きですか?それとも猫が好きですか?
  その商品だと赤色と青色があります。どちらがよろしいでしょうか?
オープン型の質問は、顧客が自由に回答できるような質問を指します。
例)御社が今後ターゲットと考えている市場はどこになりますか?
  新サービスの展開はいつ頃を想定されていますか?
顧客の情報をより深く引き出すためには、オープン型の質問が有効となります。
しかし、顧客や顧客の業界の知識を既に深く共有いている場合は、クローズ型の質問で
ピンポイントに深掘することも可能となります。
質問を行う際に気を付けなければならないのが、質問の視点が過去に置かれた
質問ばかりを繰り返すと、顧客を問い詰めるような強い印象を与えてしまい、
不快感を与えてしまうことがあるので、質問の視点を未来に置いた希望や願望を
問うような質問も交えることで前向きな印象を与えることが必要となります。
質問を適宜適切に使い分け、上手く顧客に質問することで顧客の潜在的需要を
顕在化させ、その解決のために、自社の商品やサービスが有用であることを
顧客に理解してもらうことを促進させる効果があります。
効果的な質問を行うためには、質問戦略を事前に検討しておく必要があり
その一例として、SPIN式の質問戦略が上げられます。

①状況質問

顧客のビジネスの近況、業務の背景、組織の構造などを質問する。
但し、顧客は様々な企業の営業から同じ質問を何度も受けている可能性が高い。

②問題質問

現状の満足度やトラブルについて尋ね、顧客の抱えている問題を明らかにする。
同業種の事例や、自社の商品やサービスの強みから仮設を立て、顧客のニーズを
探る。

③示唆質問

問題質問によって明らかになった顧客の問題が引き起こす悪影響について尋ねる。
問題を放置することで、どれだけ顧客にとって悪影響を及ぼすかを顧客自身に気付かせ、
自社の商品やサービスの価値を高める。

④解決質問

問題が解決されることによるプラスの影響について尋ねる。
顧客自身によって、自社の商品やサービスがもたらすプラスの影響を気付かせ、
語ってもらうことで、押し売りの印象を防止すると共に、反論や抵抗を未然に防ぐ。
製品の特徴ではなく、問題に基づいた顧客価値を強く印象付けることで
顧客の決裁取得可能性を高める効果もあり。
–出典 SPIN式販売戦略 ニール・ラッカム著 宇都宮直幸訳
問題質問で、顧客の抱えている問題を明らかにし、
示唆質問で、問題を解決することの重要性を顧客自身に気付かせ、
解決質問で、顧客自身に自社の商品やサービスの必要性を認識してもらう
という戦略になります。

3.顧客から頼られる営業になる

大量生産・大量消費の時代では、企業にとってターゲットとなる市場は
不特定多数の顧客がターゲットであり、製品も標準的な機能を持った製品を
少品種大量生産で多くの顧客に同じ製品を販売することが営業に求められる
事でした。
しかし、現在では生活必需品はある程度行き渡り不自由を感じることの少ない時代
となったため、顧客が自分から商品を探すことが少なくなり更なる消費には
基本的な機能に独自の+α機能が求められるようになっています。
また、+αの機能は顧客によって求める機能が異なり、更に同じ顧客でも
利用シーンに応じて高価格商品と低価格商品を使い分けるなど、
10人10色ならぬ、1人10色の消費傾向となっています。
そのため、収益性の高い優良顧客を囲い込み続けるために、自社の既存顧客を
より深く理解し、潜在的な需要を探り当てる先回りの対応が現在の営業には
求められるようになりました。
顧客の潜在的な需要とは、顧客自身もまだ気付いていない課題や問題を
把握し、課題解決に向け潜在的な問題の提起、解決に向けた提案を行うことで
顕在的な需要になります。
注文された商品を販売するだけでなく、顧客の潜在的な需要を顕在的な需要に
変化させ、課題・問題を解決することができる営業が顧客から頼られ、信頼される
営業といえるでしょう。
もちろん顧客から信頼されるためには、当たり前のことを当たり前に行えることが
大前提として必要になります。
顧客は商品やサービスそのものを購入するのではなく、その商品やサービスが提供する
「満足」を購入します。
その「満足」の中には、営業自身も含まれていることをしっかりと理解し、
自分の価値を高めることが商品そのものや自社の企業価値を高める手段であることを
認識して、普段から行動を行うことが顧客から信頼される営業となるために
欠かすことができない重要な事となります。